2023年 05月 01日

給与明細電子化でコスト削減&効率化!メリットや注意点も徹底解説

会社経営者は、今までに一度は給与明細の電子化を検討したことがあると思います。電子化すれば、紙の給与明細と比較して仕事の効率が上がり、コストも削減できるのが大きな長所でしょう。 給与明細を電子化すれば、さまざまなメリットがありますが、そのいっぽうで給与明細電子化を導入する際には注意点や、事前に準備しておくべきことがあります。 給与明細を電子化したとき考えられることと、メリットや注意点、事前にチェックすべき点について解説します。

給与明細電子化とは?

従来では、給与日が近づくと会社員へ紙の給与明細を直接手渡ししていましたが、給与明細を電子化すると、会社は給与明細を電子データとして会社員に配布するかたちになります。 電子化すれば、わざわざ手で配布しなくても給与明細をインターネットなどのオンライン上で配布、確認することができます。メールに添付して配布することも可能です。 毎月の給与明細だけではなく、源泉徴収票や、扶養控除申請などを行えるシステムもあります。給与明細を電子化することで、給与を含めたさまざまな書類が電子上でやり取りされることになるでしょう。

給与明細電子化のメリット(管理者側)

給与明細を電子化すると、経営者や労務担当者などに多数の利点があります。コスト削減や業務の効率化などが代表的な長所です。ここでは、管理者側のメリットについて解説します。

コスト削減

給与明細を電子化し、pdfなどで会社員に送付するようになると、明細用紙にかかるコストがなくなります。給与データから明細表に印刷する印刷代や紙代、給与明細書を入れる封筒代も不要のほか、担当者の人件費も浮くため、コスト削減につながるでしょう。 また、紙の給与明細を作成するときには、部外者に見えてしまうと個人情報漏洩につながるため、高セキュリティのスペースの確保代がかかります。また、膨大な過去の給与明細を保管するのに保管場所も必要ですが、電子化するとこのような費用もカットできます。 このようなコストは、会社員が多ければ多いほどかさんでしまいます。給与明細電子化システムを導入すれば、コストを減らしたぶん会社の利益が増えるでしょう。

仕事・業務の効率化

給与明細を電子化すれば、給与明細を印刷し、封筒に入れて手で配布するなどの作業がなくなり、業務効率がよくなります。給与計算は、給与締め日から支給日までの時間があまりないことが多いので、電子化すれば給与計算の作業時間が大幅に減らせるでしょう。 給与データを入力すれば、給与、残業手当、通勤手当、扶養手当、社会保険料や所得税などの源泉徴収額を自動で計算してくれて、実際の支給額を素早く出力できます。 正社員や派遣社員など、雇用形態に応じた給与明細を作成できるシステムもあります。また、アップデートすれば、労働・給与関係の法令を最新のデータに更新してくれるものもあるので、ひとつひとつ法令をチェックする手間が省けるでしょう。 急に給与明細を修正しなければならないときも、電子化されていれば、手元のパソコンで修正するだけで作業が終わります。紙だと手作業で訂正する必要があるため、時間がかかってしまい、効率的ではありません。 また、紙の給与明細を会社員ひとりひとりに対面で渡す際に、会社員が不在だとしたら再訪する手間が生まれてしまいますが、電子化しておけばそのような手間も省けます。 このように、給与明細を電子化すれば大幅に業務が効率化します。効率化することで時間的に余裕が生まれるのは、大きなメリットといえるでしょう。

人的ミスの減少

給与明細をデータで配信すれば、人的ミスが減ります。紙の給与明細は、給与明細を手作業で入力し、印刷して封筒に入れ、個々に配送しなければなりません。これでは給与支給日近くの仕事量が多くなってしまい、人的ミスが起こりやすくなります。 給与明細を電子化すれば、給与明細を印刷したり、封入したり、会社員ひとりひとりに配送する必要がありません。給与明細を電子化することで、手作業で行っていた工程が減り、人的ミスが起こりにくくなります。

手渡しでの個人情報漏洩リスクの減少

給与明細を電子化しておけば、個人情報が漏洩する危険性が減ります。紙で給与明細を配布すると、配布先の会社員が不在時などに個人情報が漏洩するリスクが高まります。 給与担当者が一度給与明細を部署に持ち帰るとしても、保管する際に紛失して個人情報が漏れてしまう可能性があるでしょう。 電子化すれば、一般的に本人認証した会社員のみが自分の給与明細を閲覧できるので、途中で紛失するリスクもなく、別の会社員に給与明細を見られる心配がありません。

在宅勤務に対応可能

最近ではコロナが流行した影響もあり、在宅勤務を推奨する会社も増えてきました。給与明細を電子化していれば、自宅で給与明細を確認できます。 紙の給与明細では、会社員に直接手渡しするか、会社員の自宅に郵送しなければなりません。その場合出社してもらう必要があり、郵送する経費もかかってしまいます。在宅勤務が増えてきた今、柔軟に対応できる給与明細の電子化を導入するのがおすすめです。

給与明細電子化のメリット(会社員側)

給与明細が電子化されると、管理者側だけではなく、会社員側にとっても利点が多くあります。過去の給与明細もすぐに確認できますし、いつでもどこでも給与明細をチェックできます。ここでは、給与明細を電子化すると会社員にとってどのような利点があるか紹介しましょう。

過去の給与明細を電子上で確認できる

給与明細が電子化されていると、過去の給与明細をパソコンやスマートフォンなどで確認できます。紙の給与明細では、自分で毎月給与明細書をきちんと保存しないと、すぐに過去のデータにたどりつけません。 去年と今年の給与を比較したいと思ったときなど、手元で給与明細をすぐに確認できるので便利です。会社からいつ通勤手当が支払われたのかなど、会社に尋ねることなく自分で調べられます。 導入する電子化システムによりますが、退職後も確認できる場合もあり、源泉徴収票を電子上で確認・発行できれば、退職した会社とやり取りする必要がありません。過去の給与明細を確認できるのは、会社員にとってかなりの長所でしょう。

いつでもどこでも給与明細を確認できる

給与明細が電子化されれば、気になったタイミングで好きな場所から給与明細を確認できます。在宅ワークや出張のときでも国内外問わず、すぐにチェックできるので安心です。 紙の給与明細では、会社に取りに行くまでは確認できません。郵送してもらう場合には、郵送料を自己負担しないといけない場合もあります。また、紛失されるリスクもあります。 給与明細が電子化されていると、気になったときにもすぐに確認できます。たとえば、税金がいくら引かれているか確認したいときや、去年の給与と比較したい場合などでも、インターネット上やメールからすぐに確かめられます。

給与明細を紛失しない

給与明細が電子化されていると、給与明細をなくしてしまう心配がありません。紙の給与明細だと、きちんと保管しておかなければすぐに紛失してしまい、個人情報漏洩するリスクにつながります。汚れたりしても給与明細を確認できなくなり、困ってしまうでしょう。 紙の給与明細だと、なくしてしまったら会社に届け出を出して再発行する必要があり、再発行には時間がかかる可能性もあります。 給与明細が電子化されていても閲覧パスワードなどを忘れてしまった際は、再発行の申請が必要ですが、明細そのものがメールやクラウド上から失われることはありません。

給与明細電子化の注意点

給与明細を電子化する際には、注意するポイントがあります。システムを十分に比較検討しなければ、思い描いていたのと違うと後悔するかもしれません。 給与明細を電子化する際、もともとの給与明細システムと比較して、自分の会社にあったものを導入するようにしましょう。ここでは、給与明細を電子化する場合の注意点について解説します。

電子化による個人情報漏洩のリスクがある

電子化された給与明細システムでは、インターネットを使って給与明細データを配布するため、インターネットを通じての個人情報漏洩の危険性が残ります。メールで送信する場合は、宛先を間違って誤送信してしまう場合や、システムをハッキングされたりする可能性もあります。 電子化システムのセキュリティ対策が適切に取られていないと、個人の給与明細情報やパスワードが漏洩してしまいます。給与明細を電子化する際には、自分の会社のセキュリティが万全の状態かもきちんとチェックするようにしましょう。

導入コストがかかる

給与明細電子化システムを導入する際には、初期費用やシステム維持費用がかかります。多くのシステムでは、利用する会社員数に応じてランニングコストが変化するため、会社員が多ければ多いほど費用は増えてしまいます。 ただし、紙の給与明細システムを廃止する長所は数多くあるので、どちらの方がより自分の会社にあっているか検討しましょう。また、システムを選ぶ際には、初期費用とサポート費用の確認が大切です。

給与明細のデータ管理方法が変わる

電子化された給与明細のデータを管理する方法は、紙の給与明細を保管する場合と異なります。電子化されたデータは、いつまでも閲覧、確認できるとは限りません。保管期限が切れてしまうと、自然とデータがなくなってしまいます。 保管期限が切れる前に、どのようにすればデータを保護できるのか確認が必要ですし、そのような説明を会社員へ事前にしておかなければなりません。システムにもよりますが、ハードディスクなどにデータを移行して保存できる場合もあるので、事前にチェックしてください。

既存システムからの移行に伴う業務負担

現在の紙の給与明細システムから、電子化給与明細システムに移行する際には、業務関係者の負担が増えてしまいます。とくに、パソコンに慣れていない方にとっては大変な作業になるでしょう。 また、現在の給与明細のデータと、導入する電子化システムとの互換性がない場合には、手作業で入力する必要があります。電子化システムによっては、サポートサービスがついているものもあるので、会社の状態に合わせて導入を検討してください。

給与明細電子化システムを導入する際に準備すべきこと

給与明細の電子化を導入するときに、どのようなことを事前に考えて準備しておく必要があるのでしょうか。しっかり検討せずにシステムを選んでしまうと、思い描いていたコスト削減や業務の有効化ができず、後悔してしまうかもしれません。 給与明細電子化システムを導入する際の検討方法や、事前に準備しておくべきことについて解説します。

事前に会社員の同意が必要

給与明細を電子化する際には、事前に会社員の同意が必要であると法律により定められています。どのような電子化システムになるか説明をしなくてはならないため、ある程度事前にシステム内容を決めておく必要があります。 事前に決定しておく事は、電子交付する書類の名前、電子化する方法、電子化された情報の記録手段、電子交付の予定日・開始日などです。 通知する際には、書面か社内限定のセキュリティの高いメールでやり取りします。会社員が同意する際には、サインなどの同意に必要な内容を記載して返信します。 万が一、同意が得られなかった場合にも備えておきましょう。パソコンやスマートフォンを持っていない会社員がいる場合もあります。同意していたとしても会社員が書面を希望する場合があるので、印刷機能がついた電子化システムが便利です。

どの帳簿まで電子化するかを決める

電子化給与明細システムを導入する際には、電子化する帳簿の範囲を決めなくてはいけません。毎月の給与だけではなく、ボーナス(賞与)や源泉徴収票なども電子化するパターンもあります。 そのほかにも、年末調整時の扶養控除申告書などの給与、税金に関わる帳簿もシステムによって電子化できるので、どこまで会社に必要なのかよく検討しておきましょう。 年末調整の効率化におすすめの「年調ヘルパー」もあわせてご覧ください。

どの形式のファイルで配布するかを決める

給与明細を電子化すると、そのファイルの形式をどうするか決める必要があります。たとえばWordのみ対応している場合では、閲覧する会社員側の端末にWordを見るためのソフトが必要になります。 PDF、Word、Excelなどさまざまな形式に対応しているシステムでは、給与明細だけではなく、使い方次第でシフト表や社内連絡版などをデータ配布し、より業務を効率化できる可能性があります。

セキュリティレベルをチェック

給与明細電子化をする際には、導入するシステムのセキュリティレベルを確認しておきましょう。いくら便利な機能が数多くついていても、セキュリティが甘ければ個人情報が流出する危険性が高いです。 会社員が給与明細を閲覧する際には、一般的にIDとパスワードが必要ですが、セキュリティが弱いと簡単にハッキングされてしまいます。導入を検討しているシステムがどれほどセキュリティを重要視しているか、きちんと確認するのがおすすめです。

給与計算システムとの相性をチェック

給与明細電子化システムと、給与計算システムとの相性がよいか確認しましょう。給与明細電子化システムのなかには、給与計算システムと連動して給与データを自動的に取り込めるタイプのものがあります。 この2つのシステムの相性が悪いと、給与データを移行するのに長時間がかかるおそれや、エラーにより取り込めない場合が出てきます。すでに給与計算システムがある場合も、一度にどちらのシステムも導入する場合も、お互いの相性のチェックは重要です。 給与明細電子化システムの会社に確認するのも大切ですが、実際に稼働させる前に、一定期間試しに使ってみてうまくできるかどうか検討した方が良いかもしれません。

給与明細電子化を検討しよう!

給与明細電子化について、管理者側と会社員側にわけてメリットや注意点について解説しました。給与明細電子化を導入する際にはさまざまな注意点がありますが、それらを上回る長所が数多くあります。 トータルでのコスト削減、業務の効率化が最もメリットとしてあげられます。注意すべきポイントに気をつけつつ、ぜひ自分の会社にあった給与明細電子化システムを取り入れてください。